実印は必要に迫られてから購入するより先に用意しておくほうが賢明

「ハンコください」のルーツ

いまの日本では、「ハンコください」といわれることが多いと思います。一昔前に比べますと、「サインでも結構です」といわれるようにはなりましたが。このルーツは、明治のはじめにあるようです。明治政府の法令によって、印鑑が証拠書類に必要不可欠なものとされたのです。
明治6年(1873)7月5日、明治政府は、国民相互の諸証書に爪印や花押を用いる者がいるようだが、明治6年10月1日以降の証書には必ず実印を用いること、実印がない証書は裁判上の証拠とならないという法令を出します。爪印というのは、爪を印鑑とするもので、古代以来、文字が不自由な人が使用していた方法です。花押は、サインを形象化したもので、平安時代以来の自分を証明する方法です。明治政府は、これらを排除して、実印を用いるべしとしたのです。
この法令は、明治10年5月18日に廃止されます。ところが、同年7月7日、諸証書の署名は必ず本人が書き実印を捺すこと、本人が書けないときは他人が代書してもよいが必ず本人の実印を捺し、代書の理由と代書した者の姓名を記して実印を捺すことという法令が出されます。証書には、必ず実印を捺すこととされたのです。
明治政府の思惑は明確になっていませんが、結果として、日本では「ハンコください」という社会が現出することになります。

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