実印は必要に迫られてから購入するより先に用意しておくほうが賢明

印鑑(印肉)の色

現在、役所など公的な場で実印を捺すとき、朱色以外を使うことは、まずないでしょう。印鑑といえば、朱色と決まっているかのようです(すべての法律を見たわけではありませんが、法律は「印」とのみあり、「朱印」とはないようです)。ところが、かつては朱印ばかりではありませんでした。
時は戦国時代。戦国大名は、自らの領地を支配するための文書に印鑑を捺し始めます。ちなみに、鎌倉幕府や室町幕府は、支配のための文書に実印を捺すことはしていませんでした。
もちろん、支配のための文書に捺された印鑑は、朱印が多いのですが、黒印も多々見られます。その割合を見ていきますと、どうも大名は朱印を主体とし、家臣たちは黒印を主体としているようです。ですから、朱のほうが、黒よりも格が上だったと考えられます。
この考え方は、江戸時代にも受け継がれます。支配に関する文書では、朱印は将軍に限定されていきます。各地の大名が出す文書では黒印が使われていました。朱のほうが黒よりも格上であったことを示しています。
このように、朱と黒では違いがあると考えられるのですが、この考えにあてはまらないのが、織田信長です。信長は、朱印と黒印両方を実印として使っていました。それも同じ印鑑を両方に使っています。その使い分けは実は、いまだわかっていません。信長の謎の一つとして、現在も残されています。

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